|
|
 |
■『ザ・ゴール−企業の究極の目的とは何か』■
/E.ゴールドラット (2001年 ダイヤモンド社)
◆カバーコピー
「アメリカ製造業の競争力を復活させた、幻のビジネス書。
1984年の発売以来、常にビジネス書のベストセラーの上位にランクされ、
その発行部数累計は250万部を超えている。全米の大手企業、ビジネススクールの
多くで必読書とされ、数千に及ぶ企業や200以上の大学で採用されてきた。
これまで、日本の出版社数社も版権獲得交渉を幾度となく試みてきたが、
著者の意向もあり、日本での出版だけが許可されなかったいわくつきの一冊。
企業のゴール(目標)とは何か――主人公の夫婦間の葛藤も織り交ぜた
ヒューマンタッチ溢れたストーリーに仕上がっており、ビジネス書としては、
もちろん、小説としても高い評価を受けている。」
◆著者について
エリヤフ・ゴールドラット(Eliyahu
M. Goldratt)
イスラエルの物理学者。1948年生まれ。
TOC(Theory of Constraints:制約条件の理論)の提唱者として広く知られている。
工場を経営していた知人から生産スケジューリングの相談を受けた際、
物理学の研究で培った発想や知識を駆使してその解決法導き出した。
ついには画期的な生産スケジューリング法とそのスケジューリング・ソフト
「OPT」を開発。そして、OPTの基本原理をわかりやすく解説した小説、
『ザ・ゴール』を1984年に出版。周囲の予想に反して、たちまち大ベストセラーとなった。
『ザ・ゴール』を読み、そのストーリーどおりに実行するだけで高額なOPTに
勝るとも劣らない成果を挙げる工場が続出。その後、TOCの研究や教育を
推進するアブラハム・H・ゴールドラット・インスティテュートを設立。
TOCを単なる生産管理の理論から、新しい会計方法(スループット会計)や
一般的な問題解決の手法(思考プロセス)へと発展させ、アメリカの生産管理や
サプライチェーン・マネジメントに大きな影響を与えた。
----------------------------------------------------------------------
◆禁断の書!?
この本は、工場閉鎖まであと3ヶ月と宣告され、そのうえ妻とは離婚の危機に陥る、
まさに踏んだり蹴ったりの状況の主人公アレックスが、大学時代の恩師である、
ジョナ先生の助けを借りながら、その状況を克服してゆくサクセス・ストーリーです。
この本は、アメリカではベストセラーになりながら、長い間、日本では出版されなかった
という、いわくつきのものです。その理由は「日本人は、部分最適の改善に
かけては世界で超一級だ。その日本人に『ザ・ゴール』に書いたような
全体最適化の手法を教えてしまったら、貿易摩擦が再燃して世界経済が大混乱に陥る」
というものだそうです。
しかし、その封印も解け、2001年に日本語版が出版されることになりました。
博士の予言どおり、低迷が続く、日本企業の生産性、そして競争力復活の切り札と
なったのでしょうか?
----------------------------------------------------------------------
◆生産性とは何か
「生産的であるということは、自己の目標と照らし合わせて何かを達成したと
いうことなんだよ。」
「生産性とは目標に向かって会社を近づける、その行為そのものだ。会社の
目標に少しでも会社を近づけることのできる行為は、すべて生産的なんだよ。」
「生産性なんてものは目標がはっきりわかっていなければ、まったく意味を
持たないということだ。」(p54)
私たちはよく生産性が高いとか低いとか、このように生産性という言葉を使います。
しかし、何をもって生産性を判断すればよいのか、案外分かっていないのかもしれません。
生産的であるということは、その目標に近づいたかどうかで判断する。
つまり、生産的であるためには、まず明確な目標を描いていなければならない、
ということです。
そして、目標が明確でない行動はすべて生産的でない、つまりまったく意味がない
行動になってしまうのです。
----------------------------------------------------------------------
◆目標(ザ・ゴール)は何なのか
「メーカーの目標は、お金を儲けることです」
「それ以外のすべては、その目標を達成するための手段です」(p95)
企業の目標は、「お金を儲け続けること」。
この当たり前の「目標」に気づく、このように至極当然に思えることから、
この本はスタートしていきます。
最初読んだとき、「何をいまさら」と感じましたが、しかし、言われてみれば、
普段の「習慣」に紛れて、私たちはこの当たり前の目標を見失ってしまって
いたのかもしれません。
----------------------------------------------------------------------
◆「儲ける」とはどういうことなのか
企業の目標は、お金を儲けることです、では儲かるとはどういうことなのか?
それは、次の3つ指標によって表すことができます。
※「スループット」=販売を通じてお金を作り出す割合。
※「在庫」=販売しようとする物を購入するために投資したすべてのお金。
※「作業経費」=在庫をスループットに変えるために費やすお金。
お金を儲けるとは、
「スループット」を増やしながら、「在庫」と「作業経費」を減らす。
この本では、このように表現されています。
つまり、目標に向かって、「スループット」を増やしながら、「在庫」と「作業経費」を
減らしてゆく、これが生産的な活動、つまり生産性の高い仕事ということになります。
----------------------------------------------------------------------
◆目標を達成するための方法とは
目標を達成するために、とるべき方法、これがこの本のテーマであるTOC
(Theory
of
Constraints:制約条件の理論)です。
目標の達成のためには、達成を妨げている、一番弱い部分(制約条件)を探しだし、
その部分を活用、強化することにより、全体として最適化を実現し、
目標を達成しようとするものです。
TOCは、次の5つのステップを繰り返すことにより、目標を達成していきます。
[ステップ1] 制約条件を「見つける」。
[ステップ2] 制約条件をどう「活用する」か決める。
[ステップ3] 他のすべてを[ステップ2]の決定に「従わせる」。
[ステップ4] 制約条件の能力を高める。
[ステップ5] 「警告!!」ここまでのステップでボトルネック解消したら、
[ステップ1]に戻る。ただし、「惰性」を原因とする
制約条件を発生させてはならない。
----------------------------------------------------------------------
◆TOCは問題解決の手法でもある
この『ザ・ゴール』では、サブストーリーとして、主人公の離婚の危機の話が
展開されていきます。ビジネスとは無関係に思える家庭の問題を、
なぜ取りあげているのか?
それは、このTOCは企業活動のためだけのものではないからです。
TOCは「問題解決のための手法」として他の分野にも応用できるのです。
「たとえば…、なぜ結婚するのか。二人にとって何を意味しているのか。
僕の考えでは、結婚の目標とは、ただパーフェクトな家に住んで、
時計に合わせてただ生活するだけのことではないんだ。
君にとってはそれが目標かい」(p350)
「私は、少しでいいから夫から必要とされるだけでいいわ。でも、
あなたの言っている『目標』って何なの。結婚するときは、ただ結婚するだけでしょ。
目標なんてないわ」(p350)
主人公の離婚の危機も、問題の根幹は、工場の危機と同じように
目標(ザ・ゴール)がわからなくなってしまったことから生じていました。
しかし、互いに自分たちの「目標」が何なのかついて考えるようになったとき、
そして、主人公たちがTOCについての理解を深めていったとき…。
二人の関係に、変化が生じていきました。
「アレックス、私たちの目標が何なのか、何であるべきなのか、私にはまだ
明らかではないけれど、でもお互いに何らかの形で必要とし合っていることは
確かなようね。シャロンやデイブには立派な人間に成長してほしいし、
私たちもお互い必要なものを与え合わないといけないわね」(p393〜p394)
「とりあえず、当面の目標としては悪くないんじゃないかな」(p394)
お互いの目標がおぼろげながらも見つかり、二人にとっての制約条件が
何なのかがわかったとき、二人はこうして仲直りをし、離婚の危機を
回避することができました。
もちろん、この本のストーリーはフィクションです。実際にはそう簡単に
問題は解決しないかもしれません。
しかし、その問題が解決できないわけが、多くの場合、目標がわかっていないこと、
その目標に対する制約条件がわからないこと、ここにあることは間違いありません。
ですから、TOCの手法を知っておくことは、企業活動だけではなく、
その他の場面においても、非常に役に立つのではないかと思います。
○この本の詳細についてはコチラから。
⇒
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478420408/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
|
|
 |
|
 |
 |
|